自社のWebサイトを新しくしたい、と思い立ったとします。
制作会社に相談し、打ち合わせが始まる。
「どんなイメージにしたいですか?」と聞かれ、
「清潔感があって、信頼感のある感じで」と答える。
数週間後、デザインの提案が届きます。
見てみると——なんか違う気がする。
「もう少し明るく」「堅すぎる感じかな」「なんか違うんですよね」
そう伝えると修正してもらえます。
また見てみると——やっぱり、どこかしっくりこない。
このやりとりが3回、5回、7回と続いて、
最終的には「もういいか」と妥協したWebサイトが完成する。
——こういう経験、聞いたことがありませんか?
この問題は、なぜ起きるのか
「伝え方が悪かったのかな」「自分の好みが分からないのかな」と思いがちですが、実はそうではありません。
これは「比較する材料の数」の問題です。
たとえば、レストランで「おすすめの一品を出してください」と言われたとき、すぐに答えられる人は少ないですよね。でも「この3つから選んでください」と言われたら、すぐに「これがいい」「これは苦手」と言えます。
Webサイトのデザインも同じです。
1〜2案(デザインの見た目のイメージ)を見て「これよりいいもの」を頭の中で想像するのは、とても難しい。でも、10〜20案が並んでいれば「これは違う」「これに近い」が自然に言葉になってきます。
「なんか違う」が繰り返されるのは、比較できる案の数が少ないまま打ち合わせが進んでいるから。どんな制作会社でも、何往復しても、この構造は変わりません。
私たちも同じ経験をしました
私たちアスタはWebサイトの制作を仕事にしている会社です。それでも、自社サイトのリニューアルでは同じ壁にぶつかりました。
「どんなサイトにしたいのか」という問いに向き合うと、言葉はぼんやりとしか出てきません。
「信頼感がある、でも堅くない」
「専門的に見える、でも近寄りがたくない」
「行動を促す何か——」
イメージはある。でも形にならない。
そこで試してみたのが、AIを使って最初から多数のデザイン案を一気に作り、並べて比較する、という方法でした。
17案を並べたら、何が起きたか
「モックアップ」という言葉をご存知でしょうか。実際のWebサイトを作る前に、見た目のイメージだけを先に作ったものを指します。絵コンテのようなものです。
今回、AIを使ってこのモックアップを一気に17種類生成しました。色系統だけでも、こんなバリエーションが出てきます。
- 青・白系——清潔感・信頼感を前面に出した印象
- 濃紺系——重厚感・専門性が出る印象
- ソフト系——親しみやすく、温かみのある印象
- ラグジュアリー系——白・ベージュ基調の上品な印象
- グリーン系——成長・伴走パートナーの印象
- ダーク系——都市的・重厚・インパクト重視の印象
さらに、それぞれに違うキャッチコピー案も自動で生成されます。見た目の印象と言葉が同時に並ぶのです。
17案を前にしたとき、最初に起きたのは「絞り込み」でした。
「ダーク系はないな」「ラグジュアリーは近寄りがたい」「グリーンは違う」——1案だけ見ていたら言葉にできなかったことが、比べることで一気に出てきました。
「何が嫌か」が分かると、「何がいいか」の輪郭が見えてくる。
実際に作成したモックアップ比較はこちらでご覧いただけます。
▼ アスタ コーポレートサイト トップページ モックアップ比較(17案)

ちなみにこのモックアップもAIに画像を投げるだけで、10分足らずで作ってくれました。
それでも、AIの提案を4回断った
17案が出てきたとはいえ、AIの出した案をそのまま使えたわけではありません。
サイトの各ページを実際に作っていく工程でも、AIにデザインを提案させるたびに、「なんか違う」という場面が繰り返されました。
サービス一覧を表示するカードのデザインを提案させたとき、最初に出てきたのは「カードの端だけ色をつけるデザイン」。見た瞬間に分かりました。「これ、最近AIがよく使うやつだ」と。
こういうとき、「プロっぽく見えるから」と採用することもできます。でも「これは自分たちらしくない」と断りました。
2案目、3案目——「違う」「ダサい」「らしくない」と断り続け、最終的に4回の方向修正を経てようやく「これだ」という形に落ち着きました。
AIは速く、大量に選択肢を出せます。でも「これが自社らしいか」の判断は、出してもらった側がするものです。
多案を並べることに価値があるのは、「これは違う」と言い続けられる判断があってこそ、です。

サイトのイメージを整理するための、3つの問い
今回の体験から、サイトのイメージを整理するときに有効だと感じた問いを3つ紹介します。
① 「どう見られたいか」を先に言葉にする
顧客に与えたい第一印象を言葉にしておくと、あとのデザインの判断軸が定まります。これは業種や会社の状況によってまったく違います。
- 「大手にも引けを取らない、信頼感のある会社に見せたい」
- 「地域でいちばん相談しやすい、親しみやすい会社に見せたい」
- 「専門知識の深さが伝わる、頼れる会社に見せたい」
- 「動きが速くて今っぽい、スマートな会社に見せたい」
正解はありません。「自社のターゲット顧客に、どう感じてほしいか」を起点に考えてみてください。
② 「好きなサイト」と「嫌いなサイト」の両方を集める
参考にしたいサイトを集めるのはよくやることですが、「このトーンは絶対違う」という例も同じくらい重要です。嫌いなものを言語化すると、好みの輪郭がはっきりしてきます。
③ 多くの案を前に「直感で断る」プロセスを取り入れる
理屈で考えすぎると判断が止まります。直感で「これは違う」を取り除いていくと、残ったものが本当に求めているイメージに近くなります。今回ご紹介したモックアップ比較ページは、このプロセスを体験していただくための実例です。「自分たちの会社はどの方向感に近いか」を感じながら見てみてください。

ところで——
今回ご紹介した「多案を並べて絞り込む」プロセスは、私たち自身がサイトリニューアルで実際に歩んだものです。「なんか違う」が何度も続く理由も、AIの提案を断り続けることが大切だということも、自分たちでやってみて初めて実感しました。
あなたの会社のWebサイト、今どんな状態ですか?
- そろそろリニューアルしたいけど、何から手をつければいいか分からない
- 制作会社に依頼したことがあるけど、なんかうまくいかなかった
- そもそも、自社サイトに何を求めているのかがぼんやりしている
もしそのどれかに心当たりがあるなら、ぜひ一度話してみてください。
「どんなサイトにしたいか」がまとまっていなくても大丈夫です。そのぼんやりを言葉にするところから始めるのが、私たちの一番得意なことだからです。
- Webサイトの方向性から相談したいあなたのためのページです ▶ クリック



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