「AIを使えば、Webサイトが早く安く作れる」
こういう話を、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
実際のところはどうなのか。私たちは自社サイトのリニューアルで、AIを全面的に使って試してみました。
速かった部分と、そうでなかった部分。AIが得意なことと、人間がやらなければならないこと。今回はその正直なところを書きます。
3種類のAIを、こう使い分けた
今回のリニューアルで使ったAIは3種類です。それぞれ役割が違います。
まずCodex(コーデックス)。AIを使って調査・整理・設計を自動化するツールです。今回は、現行サイトの分析、リニューアルの要件整理、サイト構成の設計、そして実装前の「ページ全体の見た目イメージ(ワイヤーフレーム)」の作成まで担ってもらいました。コードを書く前の「考える工程」をAIと一緒に進めた、という感覚です。
次にClaude Code(クロードコード)。Webサイトを動かすプログラムの実装や修正を手伝うAIです。WordPressのテンプレートの調整、スタイルの一括変更、バグの原因特定などで使いました。
そしてChatGPT image 2.0。画像を生成するAIで、デザインのモックアップ(実際に作る前の「見た目のイメージ」)を17種類一気に作るのに使いました。前回の記事でご紹介した内容です。

AIが圧倒的に速かった場面
最初に結論から言うと、「繰り返しが多い・量が必要・パターンが決まっている」作業は、AIが圧倒的に速いです。
具体的な例をひとつ。
サイト全体の文字間隔を統一しようとしたとき、個別に設定された箇所が65カ所あって、全体への変更指示が効かない状態でした。手作業でひとつずつ直すと、丸1日かかる作業です。
AIに頼んだら、数分で完了しました。
「ボタンとナビゲーション部分だけ例外として残す」という判断は人間がしましたが、その判断を実行する作業はすべてAIが担いました。
他にも、WordPressのページテンプレートを約20ファイル作成する場面では、AIが初稿をまとめて生成してくれたことで、実装の時間が大幅に短縮されました。
バグの原因特定も、AIが得意な仕事でした。スマートフォンで「お知らせ一覧」のテキストが1行に4〜5文字しか表示されないバグが発生したとき、AIがサイト全体のプログラムを横断的に調べて、別のページ向けに書いた設定が悪影響を与えていたことを数分で特定しました。人間が手作業で追うと、かなりの時間がかかったはずです。
それでも、AIの提案を4回断った
一方で、AIが速く動いてくれても、そのまま使えなかった場面も多くありました。
サービス紹介のカードデザインをAIに提案させたとき、最初に出てきたのは「カードの端だけ色をつけるデザイン」でした。
見た瞬間に分かりました。「これ、最近よく見かけるAI任せのデザインだ」と。
「それっぽく見えるから」と採用することもできました。でもアスタのコーポレートサイトにはふさわしくないと感じて断りました。
2案目、3案目——「違う」「ダサい」「らしくない」と断り続け、最終的に4回の方向修正を経てようやく「これだ」という形に落ち着きました。
AIは速く、大量に選択肢を出してきます。でも「これが良いかどうか」を最終的に判断するのは、人間の仕事です。
AIを使っていても、品質を決めるのは結局「何を選び、何を断るか」の判断です。
AIが書いた文章の「感触」は、人間が直した
Webサイトのテキストを書く場面でも、似たことが起きました。
AIが生成した文章は、論理的には正しい。でも読んだときの感触がどこかおかしい、という場面がいくつかありました。
たとえばこんな表現です。
- 「こんな状態なら、診断を受ける価値があります」→ 上から目線に聞こえる
- 「まずは話してみてください」→ 偉そうで失礼な印象になる
- 「事業をより良くしたいという思いがあれば十分です」→ これも上から目線
AIは文章の「意味」は正確に作れます。でも読んだときに人がどう感じるか——「上から目線」「よそよそしい」「AIっぽい」——は、人間が読んで初めて気づきます。
このチェックは、自社のテキストであれ、お客様のサイトのテキストであれ、省けない工程です。

速かった部分と、時間がかかった部分(正直に)
今回のリニューアル全体を振り返ると、こういう傾向がありました。
| AIで速くなった部分 | 思ったより時間がかかった部分 |
|---|---|
| 繰り返しパターンの作成・変更 | 「AIっぽい」デザインの見極めと方向修正 |
| 定型的な一括変更・修正 | 文章の「感触」確認と細かい調整 |
| バグの原因追跡・特定 | ツール設定など、AIから見えない環境の問題 |
| テンプレートの初稿まとめて生成 | 「何をしたいか」を言葉にする工程 |
速くなった部分の共通点は、「パターンが決まっている」「繰り返しが多い」「量が必要」という特徴です。
時間がかかった部分の共通点は、「判断が必要」「感覚が必要」「ツール側から見えない情報がある」という特徴です。
「AIが全部やってくれた」ではなく、「役割分担で制作の中身が変わった」というのが正直なところです。速くなった分、こだわりたい部分に時間をかけられるようになりました。
AIに頼む力は、「何をしたいか」を言葉にする力
今回の制作を通じて、もっとも実感したことがあります。
AIからいい出力を引き出せるかどうかは、指示する側の言語化の精度に直結する、ということです。
「なんとなくいい感じに」と頼むと、「AIがよく使う無難なデザイン」が返ってきます。
「信頼感がありつつ、堅くなりすぎない。地域の同規模の企業の中で一番スマートに見えるサイト」と言葉にすると、方向性が定まります。
「将来修正しやすい設計にしてほしい」と一言添えると、メンテナンスのしやすいプログラム構成を提案してきます。
これは、実はWebサイト制作だけの話ではありません。
スタッフへの指示、外注先への依頼、制作会社との打ち合わせ——「何をしたいか」「どうなれば正解か」を言葉にできる人ほど、相手から良い仕事が返ってきます。AIも同じです。
AIを使いこなす力は、特別な技術ではなく、「自分が何を求めているかを言葉にする力」です。
あなたの会社は、AIをどう使いたいですか?
今回ご紹介した経験は、私たちが自社サイトで実際に歩んだプロセスです。
ところで——
あなたの会社では、WebサイトやIT業務にAIを取り入れることを考えていますか?
「AIを使いたいが、何から始めればいいか分からない」
「制作会社にAI活用を相談できる場所が見つからない」
「自社サイトのリニューアルを、AI活用も含めて考えたい」
そのどれかに当てはまるなら、ぜひ一度話してみてください。まだ構想段階でも、課題がはっきりしていなくても大丈夫です。
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