いつものように、ターミナルで使う開発者向けのClaude(Claude Code)を開いて、モデルの一覧を見たときのことです。
ずっと選んでいた「Opus 4.8」が、そこにありませんでした。
代わりに並んでいたのは「Opus 5」。
お、変わってる。
そのとき浮かんだのは、こんな疑問でした。
何が変わったんだろう。
すぐ上に並んでいる「Fable 5」と比べると、どっちがいいんだろう。
そもそも、こうやってモデルが入れ替わるのは、何を意味しているんだろう。
モデルとは、Claudeの中身にあたる頭脳の種類のことです。
ブラウザでClaudeを使っている方の画面でも、いちばん上に出るモデルがOpus 5に変わりました。
一行の説明は出ますが、自分の仕事にどれを使えばいいかまでは分かりません。
Opus 4.8が消えたわけではありません。
2026年7月24日にAnthropicが新しいモデル「Claude Opus 5」を公開し、それが新しい標準になっただけです。
料金は据え置きのまま、性能は上がっています。
この記事では、次のことがわかります。
- なぜOpus 4.8がOpus 5に入れ替わったのか(AIのモデルが世代交代する仕組み)
- Opus 4.8から具体的に何が変わったのか(料金・賢さ・設定の効き方)
- 他社のAIと比べてどうなのか(第三者機関の測定データで確認)
- Claude Codeの中にある4つのモデルを、どう使い分ければいいのか

そもそも、なぜOpus 4.8がOpus 5に変わったのか
理由はシンプルで、新しいモデルが発表されたからです。
Claudeを作っているAnthropic(アンソロピック)は、2026年7月24日にClaude Opus 5を公開しました(Anthropic公式発表)。
AIのモデルは、スマホアプリのように「中身が自動で新しくなる」のではなく、「別のモデルが新しく登場して、隣に並ぶ」という形で進化します。
たとえるなら、アプリの更新というより、車の新型モデルの発売に近いです。
旧型が壊れるわけでも、乗れなくなるわけでもありません。
ただ、お店のいちばん目立つ場所に並ぶのが新型に変わります。
だからOpus 4.8も消えてはいません。
表に出る選択肢が新しい世代に入れ替わり、前の世代は「他のモデル」のような下の階層にまとめられただけです。
この入れ替わりは今回だけの話ではありません。
Anthropicは2026年6月以降、2か月足らずで4本のモデルを出しています(Fortune)。
つまり「気づいたら選択肢が変わっていた」は、これからも定期的に起こります。

Opus 4.8から、具体的に何が変わったのか
1. 料金は据え置きで、中身だけ新しくなった
Opus 5をプログラムから使うときの料金は、入力100万トークンあたり5ドル、出力100万トークンあたり25ドルです。
Opus 4.8とまったく同じです(Claude公式ドキュメント)。
「トークン」は、AIが文章を扱うときの文字のかたまりの単位です。
ざっくり、日本語で数十万文字ぶんのやりとりをして数ドル、という感覚で構いません。
月額プランでClaudeを使っている方は、そもそもこの単価を意識する必要はありません。
プラン料金が上がったわけではないので、いつも通り使って大丈夫です。
2. 「どれくらい頑張らせるか」の効き方が変わった
「エフォート(effort=どれだけ労力をかけるか)」は、同じモデルのまま、AIが考え込む深さを5段階で切り替える設定です(Claude公式ドキュメント)。
段階は下から low(低)、medium(中)、high(高=初期設定)、xhigh(特高)、max(最大)です。
この設定自体は、Opus 4.8にもありました。
Opus 5で変わったのは、段階ごとの差がはっきり出るようになったことと、深く考える動作が最初からオンになったことです。
xhighとmaxでは、深く考える動作をオフにできません。
誰かに調べものを頼むとき、「5分で概要だけ教えて」と頼むこともあれば、「半日かけて、裏取りまでして」と頼むこともありますよね。
エフォートは、その「どこまで頑張ってほしいか」を毎回伝えるつまみの役割をします。
画面の上では、lowからmaxまでの5つの言葉から選ぶだけです。
低くすると、考える時間も、調べる回数も減ります。
そのぶん速くて安い代わりに、難しい問題では答えが浅くなります。
高くすると、じっくり考え、必要なら何度も調べ直します。
そのぶん時間もお金もかかりますが、難しい仕事ほど結果が変わります。
公式ドキュメントには、Opus 5では品質が保てると確認できたなら、lowやmediumを費用と待ち時間の主な調整手段として積極的に使ってよいという案内が入りました。
これは大きな変化です。
これまでは「賢いモデルを選ぶ=高くつく」という一本道でしたが、これからは「賢いモデルを、軽く使う」という選び方ができます。

3. 知っている世界が、少し新しくなった
AIには「学習した情報がいつまでのものか」という区切りがあります。
これを知識のカットオフと呼びます。
公式ドキュメントによると、Opus 4.8の知識が信頼できる範囲は2026年1月まで、Opus 5は2026年5月までです。
差は4か月ですが、ツールやサービスの仕様が変わりやすい分野では、この差がそのまま回答の正確さに出ます。
4. 自分で確かめて、自分で立て直す
Opus 5は、作業の途中で自分の結果を検証し、間違えたときに自力で軌道修正する力が強化されています。
そのぶん、人が横について「そこ違うよ」と指摘する回数が減ります。
途中で「そこは違う」と指摘する回数が減りました。
5. 「だまされにくさ」がいちばん高い
Anthropicは、Opus 5を歴代のOpusの中でもっとも安全性の調整が行き届いたモデルだと説明しています。
悪用のために言葉巧みに誘導されても、乗せられにくいということです。
社員全員がAIを使う会社では、誤った指示に乗らないことが、性能より先の条件になります。
Opus 4.8とOpus 5の違い(早見表)
| 項目 | Opus 4.8 | Opus 5 |
|---|---|---|
| 位置づけ | 前世代の主力 | 現行の標準モデル |
| API料金(入力/出力) | 100万トークンあたり5ドル/25ドル | 同じ(据え置き) |
| 知識のカットオフ | 2026年1月 | 2026年5月 |
| 一度に読める量 | 100万トークン | 100万トークン |
| エフォート設定 | あり | あり(5段階を積極的に使う前提へ) |
| 安全性の調整 | 従来水準 | 歴代Opusでもっとも高い水準 |
数字だけ見ると地味ですが、「同じ値段で、より賢く、より新しい情報を持ったモデルに置き換わった」というのが、今回の乗り換えの全体像です。
他社のAIと比べると、実際どうなのか

作った会社自身の発表だけでは判断しづらいので、第三者の測定データを見ます。
AIモデルを横並びで評価している独立機関に、Artificial Analysis(アーティフィシャル・アナリシス)があります。
同社が2026年7月24日時点で公表した測定結果です(Artificial Analysis/Intelligence Index)。
| モデル(最大設定) | 知能指数スコア |
|---|---|
| Claude Opus 5 | 61 |
| Claude Fable 5 | 60 |
| GPT-5.6 Sol | 59 |
| Kimi K3 | 57 |
ここでいう知能指数スコア(Intelligence Index)は、推論・知識・数学・プログラミングなど複数の試験をまとめて点数化したものです。
Opus 5は、この総合スコアで首位に立ちました。
ただし2位以下との差はごくわずかで、「圧勝」ではなく「わずかに前へ出た」が正確な表現です。
差がはっきり出たのは、値段のほうでした。
同社の別の測定(AA-Briefcase)では、調査レポートや資料づくりのような実務に近い課題を1つ解かせ、そこにかかった費用を比べています。
Opus 5の最大設定で17.79ドル、上位モデルのFable 5で22.30ドルでした。
初期設定(high)まで下げると1件あたり10.41ドルになり、それでもFable 5を上回るスコアを出したと報告されています。
Anthropic自身も、別の評価(CursorBench 3.2)でFable 5とのスコア差を0.5%以内に収めながら、費用は半分に抑えたと説明しています(Impress Watch)。
ただし、ベンチマークの数字は万能ではありません
ベンチマーク(性能を測るテスト)は、学校の体力測定に似ています。
50メートル走が速い人が、サッカーで必ず活躍するとは限りません。
実際、同じAA-Briefcaseの内訳で、資料の見せ方を採点した項目(Presentation Elo)ではGPT-5.6 Solのほうが上でした。
Anthropic自身も、生物学の研究支援や攻撃的なサイバーセキュリティの領域では、限定提供のMythos 5に及ばないと明記しています。
「総合1位のモデルを選べば、どの仕事でも最良」ではありません。
自分がやらせたい仕事に近い項目で点が高いかを見てください。
とはいえ、日々の業務で「調べる・書く・整える・作る」をAIに任せる範囲であれば、Opus 5は現時点でかなりバランスの良い選択肢だと言えます。
Claude Codeの4つのモデル、どれを選べばいい?
| モデル | ひとことで言うと | 速さ | API料金(入力/出力・100万トークン) |
|---|---|---|---|
| Fable 5 | 長時間ひとりで走り続ける最上位 | 遅い | 10ドル/50ドル |
| Opus 5 | 複雑な作業の主力。現行の標準 | 中くらい | 5ドル/25ドル |
| Sonnet 5 | 速さと賢さのバランス型 | 速い | 2ドル/10ドル |
| Haiku 4.5 | とにかく速い軽量型 | 最速 | 1ドル/5ドル |
人にたとえると、こうなります。
- Fable 5 … 一晩かけてでも調べ尽くす専門家
- Opus 5 … 普段いちばん頼れる主力メンバー
- Sonnet 5 … 返事が速くて正確な若手
- Haiku 4.5 … 単純作業を誰よりも速くさばく担当
事務の仕事に当てはめると、こうなります。
提案書の下書きや、条件が入り組んだ見積の相談はOpus 5です。
議事録の要約やメール文の手直しのように、何度もやりとりする作業はSonnet 5で足ります。
請求書の項目を分類する、名簿を突き合わせるといった量をこなす作業はHaiku 4.5です。
Fable 5は、丸一日かけて競合調査を1本仕上げるような場面だけで足ります。
迷ったら、初期設定のままで大丈夫です。
Claude Opus 5は、Claude Maxでは最初から選ばれているモデルです。
Claude Proの場合、Claude Codeの初期設定はSonnet 5なので、重い作業のときだけOpusに切り替えてください。
細かく選び分けるのは、費用が気になり始めてからで間に合います。

「高速モード」は、別のモデルではありません

Claude Codeのモデル選択の画面には、もうひとつ「高速モードを有効にする」というスイッチがあります。
高速モードは、より小さくて軽いモデルに切り替える機能ではありません。
同じOpusのまま、返事が返ってくる速さだけを上げる設定です(Claude Code公式ドキュメント)。
速さは最大で約2.5倍になります。
そのかわり、トークンあたりの料金は上がります。
目の前で試行錯誤しているときなど、待ち時間の短さに価値がある場面です。
逆に、長い自動処理や急がない調べものでは、標準のままのほうが得です。
なお、この設定は月額プランに含まれる利用枠ではなく、追加の利用クレジットから請求される仕組みになっています。
クレジットを有効にしていないとスイッチ自体が使えず、Team・Enterpriseでは管理者の有効化が必要です。
現時点では試験提供中の機能です。
「速いから常時オン」にすると、費用が増えます。
初心者がつまずきやすい、3つの誤解

誤解1:数字が大きいモデルを選べば、いつでも正解
これは違います。
短い質問や単純な整理にいちばん重いモデルを使うと、返事が遅くなるうえ、費用も無駄になります。
大は小を兼ねません。
誤解2:モデルを変えると、これまでの会話が壊れる
これも心配いりません。
モデルの切り替えは、途中から担当者が交代するようなものです。
それまでのやりとりの内容は引き継がれます。
ただし細かい話をすると、途中でエフォート設定を変えた場合は内部的な下準備(キャッシュ)が作り直されるため、そのぶん少し費用がかさむことがあります。
長い作業では、最初に設定を決めて途中で変えないほうが無駄がありません。
誤解3:賢いモデルなら、指示が雑でも何とかしてくれる
モデルが賢くなるほど、雑な指示でもそれらしい答えが返ってきます。
だからこそ、「求めていたものと違う」に気づくのが遅れます。
モデルを1つ上げるより、「何のために・誰に向けて・どんな形式で」を最初に書くほうが、結果は変わります。
実際に、この記事もOpus 5で書いています

この記事の下調べも執筆も、Claude Code上のOpus 5にやってもらいました。
難しかったのはモデル選びではなく、「初心者にわかる言葉に落とす」ほうでした。
読む人を指定せずに頼むと、「エフォートパラメータによって推論深度を制御できます」と返ってきます。
間違ってはいません。
ただ、読む人はここで止まります。
「専門用語が出てきた時点で読むのをやめてしまう人に向けて」と先に渡すと、同じ中身が「どこまで頑張ってほしいかを伝えるつまみ」という言い方に変わりました。
モデル選びも含めて、AIをどの業務から使い始めればいいかは、中小企業のAI活用ガイドで業務別にまとめています。
あわせてご覧ください。
まとめ:新しいモデルが出たとき、見るのは3つだけ
Opus 4.8はなくなったのではなく、Opus 5という新しい標準に置き換わりました。
料金は据え置きのまま、性能と知識の新しさが上がっています。
第三者機関の測定では総合スコアで首位に立ちましたが、差はわずかで、分野によっては他社のほうが強い場面もあります。
そしてClaude Codeの中では、「迷ったら初期設定のまま」がそのまま正解になる位置づけです。
これから先も、モデルは定期的に入れ替わります。
そのたびに全部を調べ直すのは大変なので、見る場所を3つに絞ってしまうのがおすすめです。
- 料金は変わったか(今回は据え置きでした)
- 自分の使い方に近い分野で強くなったか(総合順位ではなく、用途で見る)
- 設定を変える必要があるか(今回は不要でした)
この3つだけ確認すれば、新しいモデルが出るたびに落ち着いて対応できます。
ところで、あなたの会社では、AIを「誰が・どの業務で」使っているか、把握できているでしょうか。
たとえば、こんな状態になっていないでしょうか。
- 社員が個人のアカウントでAIを使っていて、会社としては何に使われているか分からない
- 有料プランに入ったものの、結局チャットで質問するくらいしか使えていない
- 「AIで業務効率化」と言われても、自社のどの作業から手をつければいいか決められない
「うちの場合、どこから始めればいい?」は、無料で相談できます。
どの業務から自動化できるかは、会社の規模や体制によってまったく変わります。
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