Claude Codeという道具があります。
名前に「コード」と入っているので、エンジニアのものだと思われがちです。
私もそう思っていました。
ですが、それを作っているAnthropicが、社内でどう使っているかをまとめた資料を公開しました。
読んでみると、使っているのはエンジニアだけではありませんでした。
法務、財務、マーケティング、デザイン。
コードを書かない部署が、自分たちで道具を作っています。
この記事では、その中身を中小企業の目線で整理します。
何が公開されたのか
「How Anthropic teams use Claude Code(Anthropicの各チームがClaude Codeをどう使っているか)」という資料です。
2025年7月に公開されました。
社内のよく使っている人たちに聞き取りをして、部署ごとにまとめたものです。
載っているのは10チーム分です。
- データ基盤
- 製品開発
- セキュリティ
- 推論(モデルを動かす部門)
- データ分析と可視化
- API
- グロースマーケティング
- プロダクトデザイン
- 強化学習エンジニアリング
- 法務
PDFで24ページ、無料で誰でも読めます。
ただし英語です。
リンクは記事の最後に置いておきます。
ここからは、コードを書かない部署が何をしているかに絞って紹介します。

財務チームが、自分で自動化していた
いちばん驚いたのがこれです。
データ基盤のチームが、財務のメンバーに教えたのは「やりたいことを、普通の文章でメモに書く」ことだけでした。
たとえば、こう書きます。
このダッシュボードを見て、必要な情報を取ってくる。
次に、この検索を実行する。
最後に、結果をExcelで出す。
これをClaude Codeに渡すと、そのとおりに実行されます。
途中で必要になる情報(日付など)は、向こうから聞いてきます。
資料にはこう書かれています。
コードを書いた経験のない社員が、複雑なデータ処理を自分で実行できるようになった。
プログラムを覚えたわけではありません。
手順書を書いただけです。

法務チームが、1時間でアプリを作っていた
法務チームの事例が2つ載っています。
1. 話すのが難しい家族のための入力支援アプリ
あるメンバーに、病気で話すことが難しくなった家族がいました。
既存の支援ツールでは足りない部分があったそうです。
そこで、1時間でアプリを作りました。
音声を文字にして、次に言いそうな言葉を提案し、本人の声で読み上げる。
言語聴覚士がすすめる道具では埋まらなかった隙間を、自分で埋めたことになります。

2. 「誰に聞けばいいか」を案内する仕組み
社内から法務への相談が来たとき、どの弁護士につなぐかを案内する仕組みを作りました。
電話の自動音声(〇〇の方は1番を、という案内)の社内版だと思ってください。
資料は、これを「開発の人手を借りずに、法務部門が自分で道具を作れる例」と説明しています。
ほかにも、週次の報告を自動でまとめる仕組みや、製品ごとの法務レビューの進み具合を追う仕組みを作っています。
それまでは表計算で管理していたものを、ボタンを押すだけにしました。
マーケティングは、時間の数字が出ています
ここは数字がはっきりしています。
| やっていること | 変化 |
|---|---|
| 広告のコピーを作る | 2時間 → 15分 |
| 画像のパターンを作る | 数時間のコピペ → 1回0.5秒 |
| 試せる案の数 | 10倍 |
何をしたのか。
デザインツール(Figma)に差し込む部品を自分たちで作り、見出しと説明文を差し替えながら、最大100パターンの広告画像を自動で書き出すようにしました。
それまでは、1枚ずつ複製して文字を打ち替えていたそうです。
資料の言葉を借りると、こうなります。
これまでエンジニアの手を借りなければできなかった仕事を、チームだけで回せるようになった。
デザインチームは、往復がなくなりました
デザイナーの仕事は、絵を描いて終わりではありません。
「この画面のこの状態のとき、こう動いてほしい」をエンジニアに伝えて、直してもらって、また確認する。
この往復に時間がかかります。
Anthropicのデザインチームは、この往復をやめました。
自分で直してしまうからです。
資料にはこう書かれています。
- 作業時間は2〜3倍速くなった
- 1週間かかっていた調整が、30分の打ち合わせ2回で終わった
- いまはデザインツールとClaude Codeを8割の時間、両方開いている
そして、面白い一文がありました。
エンジニアにとっては「速くなった」だが、そうでない人にとっては「自分がエンジニアになった」という体験になる。

数字だけ並べると、こうなります
- 広告コピーの作成:2時間 → 15分
- 広告画像の量産:数時間 → 1回0.5秒
- 作れる案の数:10倍
- デザインの作業:2〜3倍速
- 1週間の調整 → 30分×2回
- 支援アプリの制作:1時間
- 監視できるダッシュボード:200枚
もう1つ、数字ではありませんが印象に残った話があります。

データ基盤のチームが、サーバーの障害を直したときの話です。
専門の担当者を呼ばずに、管理画面のスクリーンショットを見せながら原因を探しました。
画面を1つずつたどって、警告の表示にたどり着き、直すための具体的な指示を受け取っています。
うまく使っている人が、共通してやっていること
資料には、各チームからの助言も載っています。
読者に関係しそうなものを4つに絞りました。

1. 「自分は何者か」を先に書いておく
デザインチームの助言です。
専用のメモに、こう書いておきます。
私はデザイナーで、コードのことはほとんど分かりません。
説明は詳しくしてください。
変更は一度に少しずつにしてください。
これを書くだけで、返ってくる説明の丁寧さが変わり、怖さが減ったとあります。
2. 作業の終わりに、まとめさせる
データ基盤チームの助言です。
1つの作業が終わったら、「今日やったことをまとめて、改善できる点を挙げて」と頼みます。
それを手順のメモに書き足していきます。
使うほどメモが育ち、次から精度が上がる、という循環です。
3. まず1回、丸ごと任せてみる
これは強化学習チームの助言です。
短い指示を渡して、まず全部やらせてみる。3回に1回くらいはそれでうまくいく。だめなら、一緒に進める形に切り替える。
最初から細かく指示すると、時間がかかります。
3回に1回当たれば得、という考え方です。
4. 画面を見せる
複数のチームが同じことを言っています。
言葉で説明するより、スクリーンショットを貼るほうが速い。
デザインチームは「こういう見た目にしたい」を画像で渡し、データ基盤チームは障害の画面を渡していました。
この考え方は、画像生成でも同じでした。
中小企業がまねできること
ここまで読んで「うちには関係ない」と思われたかもしれません。
ですが、まねできる部分があります。
いちばん近いのは、財務チームのやり方
コードを書いていません。
やりたいことを、普通の文章で順番に書いただけです。
毎月やっている集計、毎週作っている報告、決まった形式への転記。
この手順を文章にすると、そのまま渡せる形になります。
まずは1つ、いつもやっている作業を書き出してみてください。

手順書の書き方は、mdファイルとは?マークダウンの書き方と、AIへの渡し方にまとめています。
Claude Codeを入れるかどうかは、その次
Claude Codeは、パソコンに入れて使う道具です。
いきなりこれを入れる必要はありません。
まずは普段のClaudeやChatGPTで、手順書を渡すところから試せます。
Claude Codeとの違いは、Claude CodeとCoworkの違いにまとめています。
まとめ
- Anthropicが社内10チームのClaude Code活用をまとめた資料を無料公開した(英語・24ページ)
- 使っているのはエンジニアだけではない。法務・財務・マーケティング・デザインの事例が載っている
- 財務チームは、やりたいことを普通の文章で書いて渡すだけで自動処理していた
- 法務チームは1時間で支援アプリを作り、社内案内の仕組みも自作した
- マーケティングは広告コピーが2時間→15分、試せる案が10倍になった
- うまく使う人の共通点は、自分の立場を先に書く・終わりにまとめさせる・まず丸ごと任せる・画面を見せる
この資料でいちばん伝わってきたのは、道具の性能ではありませんでした。
「作ってもらう」から「自分で作る」に変わると、仕事の進み方が変わるということです。
1時間でアプリを作った法務の人は、エンジニアではありません。
参考にした情報
- How Anthropic teams use Claude Code(Anthropic公式ブログ・2025年7月)
- How Anthropic teams use Claude Code(PDF・全24ページ・英語)
本文中の数字と引用は、このPDFの記載を訳したものです。
いま、社内の誰がAIを使っていますか
次のどれかに心当たりがあれば、一度話を聞かせてください。
- AIを触っているのが、社内の一部の人だけになっている
- 毎月の集計や報告に、決まった手間がかかり続けている
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