※この記事は、後半(具体的な作り方・実際に使ったプロンプト・Kindle出版の手順)をメルマガ読者限定で公開しています。前半だけでも一つの読み物として完結していますので、まずはお楽しみください。
「AIで文章が書ける」「画像も作れる」。もう、耳にタコができるほど聞く話です。
でも、実際に「最初から最後までAIに任せて、何かを一つ完成させた」という全記録は、意外と見かけません。
華々しい成功談か、ふわっとした使い方紹介がほとんど。どこでつまずいて、それをどう乗り越えたのかまで見せてくれる人は、あまりいないんです。
だから今回は、それを正直に、全部お見せしようと思います。
やったことは、これです。
中小企業向けの「AI活用ガイドブック」を1冊、文章も画像もほぼ全部AIに任せて作り、Kindleで出版する。
約70ページ。章扉も、付録も、表紙も裏表紙もある、ちゃんとした本です。実際、こんな中身になりました。

この1冊を、どうやってAIと作ったのか。順番にお話しします。
結論から言うと、こうです。
AIに「丸投げ」はできませんでした。でも、要所さえ人がコントロールすれば、1冊の本はちゃんと作れました。
この記事では、その全記録をお話しします。どこでAIが強くて、どこで詰まって、それをどうほどいたのか。きれいごと抜きで、順番に書いていきます。
そして記事の後半では、「自分でも実際にやってみたい」という方のために、私がAIへ出した実際の指示文(プロンプト)を、そのまま公開します。読みながら真似できる形にしていますので、そこまでぜひ読んでみてください。
きっかけは、みなさんへのアンケートでした
そもそも、なぜ本を作ったのか。
きっかけは、アスタで行った「AI活用に関するアンケート」です。
回答を読むと、みなさんが日々の仕事のどこで手が止まっていて、AIをどんなふうに使ってみたいと思っているのかが、具体的に見えてきました。
それなら、教科書のような一般論ではなく、この声に応える「実際に役立つガイドブック」を作ろう。そう決めました。
そして、AI活用を支援する会社として、もう一つ決めたことがあります。
この本自体を、AIに作らせてみよう。「AI活用」「AIで面倒をラクに」と言っている会社が、自分の本をAIで作れなかったら、説得力がありませんよね?
その挑戦が実際どうなったかは、この記事を最後まで読んでいただければ分かります。うまくいったところも、何度もつまずいたところも、包み隠さず書いていきます。
なお、アンケートにご協力いただいた方には、完成したガイドブック(Kindle版980円)を無料でプレゼントしています。いただいた声は、これからのメールや、本の次の版にも活かしていきます。
→ AI活用アンケートはこちら(回答特典:ガイドブック無料)
先に、この記事の要点
- AIが強いのは「量産」と「下書き」。原稿もイラストもアイコンも、驚くほど速く出てきます。
- 人がコントロールしないと崩れるのは「読者目線」「方向の判断」「最後に出す判断」。ここを手放すと、”それっぽいけど使えない”ものが出来上がります。
- コツは「全部いっぺんに任せない」こと。作業を小さく分け、要所で人が止める。これだけで、AIは頼れる相棒になります。
何を、どのAIに任せたのか
使った道具は、大きく2つに絞りました。
ひとつは、文章とページのレイアウトを作る「Claude Code」です。原稿を書き、各ページを組み、直しも指示ひとつで回してもらいました。
もうひとつは、画像を作る「image2.0(GPT Image)」です。表紙のイラスト、本文の比喩イラスト、ページの中のアイコン。人物も、図も、アイコンも、ここで作りました。
イメージとしては、こんな”2人組”です。

最初にAIへ出した指示は、こんな感じでした。
「ある見開きを、”左=考え方/右=コピペで使えるプロンプト”という型で1ページ作る。左の比喩イラストはAIに3案出させて、私が1案選ぶ」。
ここで決めた”型”を、あとは全ページに流し込んでいく。つまり私の仕事は、型を決めることと、出てきたものから選ぶことだけにしたわけです。
そこから第1章、第2章……と、同じ型で一気に作っていきました。
まず、その速さに面食らいました
正直に言うと、速さは想像の上を行きました。
原稿は、要点さえ渡せば下書きが数分で返ってきます。
比喩イラストは3案並べて、いちばん合うものを選ぶだけ。
極めつけはアイコンでした。
最初、ページの中のアイコンは、コードで線を引く「SVG」という形式でAIに描かせていました。ところが、これが安っぽく見えたんです。SVGは単純な線画は得意でも、影や質感、細かなニュアンスまでは表現しきれず、“間に合わせ”の印象が拭えませんでした。
そこで、本の中に散らばっていたアイコンを、127個まとめてimage2.0で作り直しました。今度は、統一感のある、ちゃんと“デザインされた”アイコンです。

この127個の作り直しにかかった時間は、実作業で約2時間ほど。自分で一つずつ描いたり、ネットから素材を探して差し替えたりしていたら、何日仕事になっていたか分かりません。
この時点の私は、少し調子に乗っていました。「これは全部いけるんじゃないか」と。
……その慢心は、このあと何度もひっくり返されることになります。
そして、詰まりました。ここが本づくりの山場です
やってみて、はっきりしたことがあります。
AIが強いのは「量産」と「下書き」。逆に、人がコントロールしないと崩れる場所が、次々と顔を出しました。
ここがこの記事の本題です。実際に私がAIへ出した指示や、その場の画面を、そのまま載せながら振り返ります。
詰まり①:AIは”それっぽい”は作る。でも「読者の目線」が抜け落ちる
最初にできてきたページは、パッと見はきれいでした。
でも「読者として実際に使えるか」で見ると、細かい穴だらけだったのです。
たとえば、読者が書き込むワークのページ。「最初に手をつける一つを選ぶ」ために候補をマップに置いていく欄があるのですが、その各枠の中に、謎のカッコがぽつんと置かれています。
![ワークの2軸マップ。各枠内に説明のない[ ]がある修正前の誌面](https://blog.astha.jp/wp-content/uploads/2026/07/ai-book-kindle-publishing-slot-before.png)
これを見て、私はAIにこう聞きました。
枠内の[ ]は何のためにあるんだろう?
AIの答えは、「候補の記号(A・B・C)を書き写すための記入欄です」。
意図は分かります。でも、説明がなければ読者には絶対に伝わりません。結局、この欄は削除してもらいました。
読者が一瞬でも「?」と止まる場所は、それだけで本を閉じる理由になります。
別のページでは、「当てはまる工程に○、一番つらい所に◎をつけましょう」というワークがありました。ところが、その○と◎が最初から色付きで表示されていて、”もう記入済み”に見えてしまうのです。

私はこう頼みました。
すでに丸も二重丸も入っているように見える。灰色の点線にして、ここに自分で丸または二重丸をつけるんだよー、が直感でわかるようにして。
ほかにも、表の見出しが紺色の背景に濃い文字で乗ってしまってそもそも読めない、信号機のたとえなのに文字が全部オレンジ一色で緑も赤も伝わらない……。
どれも、AIは”それっぽい形”はすぐ作るのに、「初めて読む人がどう受け取るか」までは面倒を見てくれないのです。
ここは自分で一つずつ、読者目線で確認しながら指摘して直すしかありませんでした。
詰まり②:AIへの”メモ”が、そのまま読者に漏れていた
これは笑い話のようで、笑えない話です。
ページのあちこちに、私やAIに向けた作業メモが、読者の目に見える形で残っていました。
私はこう指摘しました。
「(規約は配布前に最新を確認)」のように、明らかに私に向けたメッセージがあります。作業忘れ防止のメモとして入れてくれたのでしょうが、邪魔だし読者の読みづらさにもなるので、同様の文言はカットしてください。
制作のための”内輪のメモ”が、本文に紛れ込んでいたわけです。
AIと作業していると、「自分たちへのメモ」と「読者への言葉」の境界が、驚くほど簡単に曖昧になります。
詰まり③:「読んでたら、いつのまにか章が変わってた」
通しで読んでいて、私はこう感じました。
章が変わるタイミングが読んでいて分かりづらい。今のままだと、読んでたらいつのまにか章が変わってたって感じになっています。
本としての”節目”が、なかったんです。
そこで、各章の頭に「章扉(その章の入口ページ)」を新しく作ることにしました。
まず1つの章だけで扉を試作して、デザインを固める。それを全部の章と付録へ横展開する。
ここで問題が一つ起きました。扉を1枚足すと、そのあとのページ番号が全部ずれるのです。
だから、表紙から裏表紙まで、全ページのページ番号を通しで振り直しました。
「一つ足すと、全部に波及する」。
ただ、この番号の振り直しも、AIに指示を出すだけでやってくれるのでありがたいです。
詰まり④:表紙が「文字を並べただけ」だった
いちばん手こずったのが、表紙です。
最初にできてきた表紙が、これでした。

タイトルと画像を上から順に置いただけの、”情報の一覧表”にしか見えません。
電子書籍ですが、表紙で「読みたい」と思えるかどうかは、実際の本と同じだと思います。
つまり、本屋で手に取らせる仕掛けが、まるでない。
私はかなり厳しくダメ出ししました。実際の言葉がこれです。
表紙のクオリティが納得できないです。書いてある内容は良いのですが、ただ文字を並べて適当に画像をおいただけです。本の表紙ってもっと工夫されていますよね。(中略)今が昭和40年代ならこの表紙でも良いと思いますが、令和でAIを活用を説明する本の見た目としては不合格です。
ただ、ここで私にも答えがありませんでした。「どんな表紙が正解か」が、自分の中になかったんです。だから、発想を変えてこう頼みました。
まず、私自身どんなデザインが良いのかという答えを持っていないので、訴求する角度を変えた3つのテーマでプロンプトを考えて、image2.0でモックアップを作成して私に提案してください。
AIが作ってきた3案が、これです。

①イラストで情緒に訴えるA案。②「60分→1分」の数字を主役にしたB案。③実践ノート風の地図型C案。訴求の角度が、まったく違います。
3つ並べて、初めて「これだ」と選べました。選んだのはA案です。一人で唸っていたら、絶対に辿り着けなかった答えです。
そこからA案をたたき台に、やり取りを重ねてブラッシュアップしていきました。その変遷がこれです。

途中では、こんな細かい事故もありました。私はある日、こう指摘しています。
表紙の発行情報から、アスタロゴが消えていました。直してください。
AIが表紙を作り直したときに、うっかりロゴを落としていたんです。それも直して、ようやく”本屋に置ける顔”になりました。
この一連でいちばん大きかった学びは、これです。
「自分に正解がない時こそ、AIに複数案を出させて、人が選ぶ」。AIは”選択肢を並べる”のが本当に速い。決めるのは、人です。
詰まり⑤:本文は良いのに、「読み終えた後」が設計されていなかった
完成が見えてきた頃、第三者のつもりで通しで読み直して、一つ足りないものに気づきました。
本文は、ちゃんと役に立つ。ワークも埋められる。でも、読み終えた読者が「じゃあ、うちの場合はどこから始めれば?」と顔を上げたとき、その次の一歩が、どこにも用意されていなかったのです。
実際、裏表紙の締めの言葉も、最初は分かりにくいものでした。私はこう指摘しています。
このコピーでは、何を言っているのか?がよくわからず魅力的とは言えません。「そこからが出番です」というのも、誰が誰に言ってんだ?って感じで、対クライアント・対見込み客向けの言葉ではなかった。
そこで、裏表紙の締めを作り直しました。読み終えた人がそのまま進める、具体的な出口を置いたのです。
無料の「AI活用診断」(30分・オンライン・準備不要で、あなたの業務を聞いてAIで減らせる作業を一つ特定する)へ、本文と地続きで案内する。読み取り用のQRコードも、その診断につなぎ替えました。
AIは”良い本”は作れます。でも”何のために作るのか”という設計は、人が持たないと抜け落ちるのです。
詰まり⑥:AIが先走る。そして、ニセの指示が紛れ込む
仕組みで走らせていると、AIが人の決定より先に進んでしまう場面がありました。
まだ私が「この案でいく」と決めていないのに、勝手に本番へ反映しようとしたんです。ここは、人が止めました。
そしてもう一つ、背筋が冷えた出来事があります。
作業の途中で、AIが読み込む作業情報の中に「作業データを削除しろ」という趣旨の指示文が紛れ込んでいたのです。
なぜ、そんなことが起きるのか。
AIは作業のために、ファイル・Webページ・過去のやり取りといった大量の文章を読みます。その中に”命令の形をした文章”が混ざっていると、AIがそれを人からの指示と取り違えて、実行してしまうおそれがあるのです。
「プロンプトインジェクション」と呼ばれる、AI活用では有名なリスクです。誰かの悪意はもちろん、古いメモや引用の断片がたまたま”指示のように読める”だけでも起こりえます。
今回は、どうなったか。
使っていたClaude Codeは、「従うのは利用者本人の指示だけ。読み込んだ文章の中の命令には従わない」という原則で動きます。この時も指示には従わず、「不正な指示があったが無視した。破壊的な操作は一切していない」と報告してきました。
加えて、こちら側でも保険を二重に掛けていました。
削除や公開のような取り返しのつかない操作は、人の承認がなければ実行できない設定にしておく。データはすべて履歴管理して、万一消されても直前の状態に戻せるようにしておく。
便利さと引き換えに、「最後のボタンは人が押す」を、最初から仕組みに埋め込んでおく。これだけは、絶対に外せない一線でした。
Kindleで「出す」までの、地味な山
原稿とページが固まったら、次は”本として出す”工程です。
ここも、地味に山があります。
見開きで作っていたページを、Kindle用に1ページずつに分割して書き出す。
章扉を後から足した分、ページ番号を通しで振り直す(さっきの話ですね)。
それを、Kindleの決まった形式(固定レイアウトのEPUB3)に組み立てる。見開きの左右ペア、章ごとの目次、書名や出版者などの情報も設定します。
仕上げに、Kindleダイレクト・パブリッシング(KDP)にアップして、価格(980円にしました)やロイヤリティを決めて、申請。
そして――申請完了、審査待ちまで、たどり着きました。

着想から、文章・画像・レイアウト・電子書籍化・出版申請まで、その大半をAIと一緒に。
ここまで来ると、達成感より先に「本当に、できたな」という静かな実感のほうが大きかったです。
(配布用に、画面で読みやすいPDF版も別に用意しました。渡す相手や場面で、Kindle版とPDF版を使い分けられるようにです。)
なお、このKDP登録の詳しい手順は、実際の画面つきで、後半のメルマガ読者限定パートにまとめました。
いちばんの学び:AIに「どこまで任せ、どこは人が持つか」
全部やってみて、線がはっきりしました。
任せて強いのは、量産・下書き・たたき台・選択肢を並べること・単純作業の繰り返し。
人がコントロールすべきは、方向の判断・言葉の厳選・数字と事実の確認・”何のために作るか”の設計、そして最後の「出す/出さない」の判断です。


面白いのは、これがこの本自身のメッセージと、まったく同じだったことです。
本の中で私は、こう書きました。「全部をAIに丸投げしない。詰まりを一つずつ。最後は人が決める」。
その通りに作ったら、その通りになった。言っていることを、作り方で証明してしまったわけです。
もしあなたが「AI、気になるけど何から手をつければ」と止まっているなら、伝えたいことは一つだけです。
全部をいっぺんに、と考えなくて大丈夫。あなたの会社の”詰まり”を、まず一つ。そこから、流れは動き出します。
あなたの会社では今、どの作業がいちばん「毎回ゼロからで面倒だな」と感じますか。
もし「うちの場合、どこから手をつければ?」で迷ったら、無料のAI活用診断で一緒に見つけます。
30分・オンライン・準備不要。この本と同じで、詰まりを一つ特定するところからです。
そして、AI活用アンケートも、引き続き回答を受け付けています。
ご協力いただいた方には、この記事で紹介している『中小企業のためのAI活用ガイドブック』を無料でプレゼントしています。
Kindleストアで980円で販売する電子書籍と同じ内容(約70ページ)を、PDFファイルでお渡ししますので、Kindle端末がなくてもスマホやパソコンでそのまま読めます。
ここまでは「何が起きたか」の話でした。
ここから先は、「自分でも実際にやってみたい」という方のために、具体的にどうやったかを、実際の指示文(プロンプト)ごと公開します。
私が使った仕組み、指示の型(実例10本)、失敗の防ぎ方、そしてKindle出版の画面つき手順まで。読みながらそのまま真似できるように書きました。
ちなみに今回、この本づくりでAIに切った作業指示は、合わせて100件を超えています。
その運用の芯を、5つに絞ってお渡しします。
続きは、メルマガ読者限定です。登録は無料、メールアドレスだけで読めます。
ふだんは、AIで仕事の”詰まり”を減らすヒントを、今回のような現場の実例ベースでお届けしていますので、よろしければ以下のリンクからご登録ください。




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